シベリア最古の街
地理上ではロシアの中心に位置するトムスク市は、 ロシアで最も古い都市の一つである。街の歴史は古く、元は軍事的拠点として発展した。 1830年代よりシベリアで金の発掘が盛んになったことから人口が急増し、 ロシア革命後の1944年にトムスク州として登録され、トムスク市がその州都となった。
人口は約103万6千人。現在およそ120の民族が居住している。 広大な平野が広がるこの州の面積は31万6千で、 ロシア全土の1.4% 、日本の85% に相当する。冬の寒さは厳しく零下50℃まで下がることもあるが、 7月の平均気温は18・ 1℃と暖かく、夏は過ごしやすい。
このような自然環境のなかで発展してきたシベリア最古の街「トムスク」には、 400年の伝統を受け継いできた美しい街並みと豊かな自然があふれている。

歴史的建造物と現代が調和する街並み
トムスクの街には歴史が色濃く刻まれており、建築物や寺院、劇場など見どころも数多い。1605年にトムスク市郊外に建てられ、 1658年に現在の場所に移転された「生神女マリアと聖アレクセイの男子修道院」は、シベリア最古の修道院。プーシキンの曾祖父で、 ピョートル大帝の寵愛を受けたアブラム・ペトロビッチ・ハンニバルがここに監禁されていたことでも知られている。このほか、 トムスクの特徴である木造建築物は市内の各所で見ることができる。ロシアのアジア地域では最古の「シベリア植物園」、 シベリア最多のコレクションを誇る「トムスク郷土史博物館」なども見ごたえがある。また劇場も多く、シベリアで最も古い劇場の一つ 「シベリア劇場」や、音響効果がすばらしい「フィルハーモニーオルガンホール」、ユニークな人形劇が楽しめる「ウラジミル・ザハロフ劇場」 などがある。
学問と知性の街
トムスク州における科学と教育の歴史は、 トムスク市にロシア帝国大学が設立されたときから始まった。現在トムスク市には国立大学6校と、 他都市の大学の支部15校がある。 市民50万人中10万人が学生という、 まさに学問の街だ。また、トムスク州では150の学術研究機関が活動しており、 学者たちは積極的に海外のパートナーと協力関係を結んでいる。契約や奨学金の総額は1億USドルにも及ぶという。
ロシアには600の国立大学、1500の私立大学があるが、トムスク国立大学は、ロシア教育科学省によって評価される「国立総合大学」 のトップ5に入っている。1878年に設立されたこの大学は、シベリア初の大学としても有名だ。
また、トムスク国立大学など3つの大学で日本語教育が行われており、現在100名ほどの学生が学んでいる。
日本語を熱心に学ぶこの学生たちが、これからの日本とロシアを結ぶ掛け橋となってくれることを期待したい。
経済発展の軸は、世界に誇るIT産業
高等教育を背景に、トムスク市には150社を超えるIT企業がある。そのなかにはロシア国内トップクラスや世界的に知られている企業もある。 代表的な企業として、近年急成長を遂げたミクラン社と、エレカード社が挙げられる。ミクラン社は、無線通信機器の開発・製造会社で、 マイクロ波通信分野ではロシアのトップを走る。また、エレカード社はPC・DSPプラットホームのデジタル音声・ 画像データ処理システムなどを開発・製造し、グローバルな展開で注目を集めている。
2005年に、ロシア国内6カ所の経済特区の一つにトムスク州が選定された。昨年4月にはプーチン大統領がトムスク州を訪問し、 経済特区の認定式典が開催された。トムスク州の経済特区が力を入れる分野は「IT」「ナノテク」「バイオ分野」である。シブル・ トムスク石油化学コンビナートがトムスク経済特区の最初の入居企業となった。今年末までにはインフラ整備を終え、 本格的な企業誘致が開始される。また、今春からはテクノパークの建設も始まっている。
美しく先進的な街「トムスク」は、シベリアの歴史と伝統、そして自然と共存する豊かな暮らしを守る一方で、学問の街であり、また、 目覚ましく発展する経済の街としての顔を持ち、今後もIT産業を軸とした大きな発展が期待されている。


