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セルギエフ・パッサート

世界遺産に登録されたロシア正教の中心地

 セルギエフ・パッサートはモスクワの北約70kmに位置する。 ソ連時代にはザコールスクと呼ばれていた。

 町は、1345年にロシア最大の修道院「トロイツェ・セルギエフ大修道院」が、セルギイ・ ラードネシュスキーによって創立されたことから始まる。後に聖人となったセルギイが亡くなると、彼の継承者たちは、 修道院周辺に次々と教会の施設を増設していった。町の広がりとともに、修道院はロシア正教の中心として発展していき、 次第にロシアの諸公や皇帝にも影響力を持つようになった。

 ロシア史における重要な場面にもたびたび顔を出すようになり、国の動向を左右する問題においてもさまざまな役割を果たすようになった。 また、戦略的にも重要な位置にあった修道院は、諸外国からの攻撃にも耐えられるよう、城壁を造り防御を堅めて、要塞のようになっている。

 修道院が手厚く優遇されたロマノフ王朝時代(17世紀) には、周辺に商業や手工業が発達し、町は大きく発展した。

 ソ連時代、宗教が弾圧を受けるなかでも、この修道院は国から文化財として保護された。

 1993年にはセルギエフ・パッサートの修道院全体が、ユネスコの世界遺産に認定された。

 ロシア正教のメッカとして、現在もロシアの精神的、政治的、文化的、 あらゆる生活の面で支柱ともいうべき存在のトロイツェ・セルギエフ大修道院。 この美しい修道院はロシアにおけるトップクラスの史跡に数えられており、その保存状態の良さは目を見張るものがある。 敷地内のトロイツキー聖堂(15世紀) には、聖人セルギイの聖櫃が安置されており、イコン画家アンドレイ・ルブリョフやダニール・ チェルニーによるフレスコ画がある。

 修道院の中心に建つ、青と金のねぎ坊主の屋根が目を引くウスペンスキー大聖堂は、モスクワ・クレムリンのウスペンスキー寺院を模し、 同じ大きさで造られた。これらの建築とドゥホフスカヤ教会、トラペーズナヤ宮殿などが織りなす建造物のアンサンブルは見ごたえがある。 周囲を取り囲む城壁は16世紀に築かれたもので、 この城壁の存在が修道院に統一感を出し、美しさをより一層際立たせている。

 セルギエフ・パッサートは、日本の「こけし」を基にしたといわれている、民芸品マトリョーシカの産地としても有名だ。修道院に近い 「おもちゃ博物館」には、この地で作られたマトリョーシカやおもちゃの歴史、世界のおもちゃなどが展示されている。 またマトリョーシカが生まれたロシア芸術運動発祥の地アブラムツェヴォも近い。そのため、セルギエフ・ パッサートには古くから工芸専門学校がつくられ、木工などの優れた工芸品や家具デザイナーの工房も数多くある。

 修道院などの建造物だけでなく、マトリョーシカや家具など木材加工品の生産も盛んな古都である。