ロシアのスイスと呼ばれる南ウラルのスキーリゾート
2007年度第8回全ロシア・マウンテンバイク大会が、 バシコルトスタン共和国のストロジェヴァヤ山で開かれた。ここでの開催は昨年に続き2年連続。会場は、 鉄鋼で有名なマグニトゴルスクより40km、昨年と同じくバンノエ湖を見下ろすストロジェヴァヤ山のスキーリゾート 「メタルルグ」だ。この辺りはロシア最良のスキー場として知られており、スキーが好きなプーチン大統領も数回訪れている。 大会には、 モスクワ、サンクトペテルブルク、サラトフ、ウファ、クラスノヤルスク、ナリチクなど、ロシア各地からプロ・アマを含め、 マウンテンバイク愛好者たち約300名が集まった。このうち選手は約100名。 マウンテンバイクによるクロスカントリーも開かれたが、 最大の目玉は何といっても全ロシア・ダウンヒル選手権である。 山岳地の地形を生かした2450mのコースを駆け下りてタイムを競う。
全ロシア・ ダウンヒル選手権
選手たちは、メタルルグの宿舎から海抜942・8mのストロジェヴァヤ山頂まで、スキー用のゴンドラに乗って上り、数分ごとに2人ずつ、 山頂スタート地点からマウンテンバイクで宿舎手前のゴールまで駆け下りる。コースは、全長2450m、平均傾斜角度15度、最大傾斜22度、総落差450m。所要時間は最短で3.5~4分ほどである。
山頂のスタート付近では、鋭い礫岩の道の隆々とした岩々の間を下り、斜面に立ち並ぶ白樺の間の小道を駆け下り、花が咲き乱れる丘を下り、
小川を越える。雄大な下界の景色を横目にペダルを漕いで走り抜ける場所もあれば、細道に気を配りながらスピードを落とすところもある。また、
文字通り空中を跳び越えなければならない難所もある。コースの一部にスポンサードをするトライル・スポーツ社の特設のジャンプ台もあるが、
そのほかのほとんどは変化に富んだ自然の地形によるもの。観客には、
険しい山道を跳ぶように疾走するマウンテンバイクの姿を見るだけでアドレナリンが上昇するものだ。しかし、選手たちは
「険しい道の途中の岩陰に立っている観客を見るほうがよっぽど恐ろしい! マウンテンバイクでしか来れないこんな場所に、
どうやってこの人たちは登ってきたのか?」と笑う。
本大会のプロ部門優勝者はヴィクトル・ポポフさん(3分41秒50)2位はロマン・コルビンさん(3分56秒29)。 アマチュア部門優勝者はイーゴリ・ポポーヴィッチさん(3分38秒30)。女性優勝者はガリーナ・バラグロヴァさん (4分12秒29)だった。アマチュア優勝者の方がプロ選手よりもタイムが良いのは、プロ選手の出走時直前に、集中豪雨が降り、 直後のぬかるんだ最悪の道を駆け下りたことによる。優勝者たちには、 大会スポンサーであるマグニトゴルスク鉄鋼コンビナート社から、総額30万ルーブルの賞金が手渡された。
マウンテンバイクの醍醐味
ロシアでマウンテンバイクによるダウンヒルが人気を集めるようになったのは、1998年の経済混乱期が落ち着いた2000年くらいから。 当初の愛好家たちは、自己流でトレーニングを重ねて研鑽した。当時の人たちはすでにほかの初心者を訓練するようになっており、 愛好家の輪が広がりつつあるようだ。ロシア全土にチェーン店を展開するスポーツ用品店「トライアル・スポーツ社」によれば、 南ウラル地方周辺は、眺めの良い丘や山々が広がり、バイクを持って上れるゴンドラが整備されたスキー場があるので、 夏シーズンにはマウンテンバイク・ツーリズムという新しいレジャーの楽しみ方が今後さらに発展することが期待されるという。モスクワからも、 ロシア南部やシベリアからも遠くないという立地も好条件の一つだという。 南ウラル地方がロシアのマウンテンバイク愛好家のメッカになる日もそう遠くないかもしれない。


