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紀元前18~17世紀の円型集合住居遺跡 謎の遺跡「アルカイム」

1987年に発見された円型集合住居遺跡

 

 アルカイムの遺跡は、渦巻き貝を思わせるユニークな二重円型で、 円心を二重に取り巻くよう各住居が並ぶ。しかも各住居の壁は同時に隣家の壁になっており、全体が一種の集合住宅を成している。 周縁は約170m。濠に囲まれ、外壁は高さ5m、厚さ5m。内側の円に入るには、住居が連なった外円の通りを、 太陽に向かうように一周しないと入れない仕組みになっている。その構造は防衛上の意味があるとも、 宗教的な意味が盛り込まれているともいわれる。また、天体観測所としての工夫も指摘されている。

 発見されたのはソビエト時代の1987年。 当時この地域はダム工事のために水没する可能性があったが、遺跡保存のための反対運動が繰り広げられ、1991年工事は停止された。 遺跡はイリメンスキー自然保護区の一部のアルカイム自然保護区として指定され、保護を受けることになった。 アルカイム自然保護区全体の面積は約5000ヘクタール。円型集合住居遺跡のほかに、石器時代の住居跡や古代の墳墓、 中世の宗教施設跡など70の遺跡を含んでいる。

 近くには博物館が併設され、 アルカイムの集合住居遺跡の復元模型などを見ることができる。

 発掘調査が始まってから20年ほどなので、まだまだ不明な点が多いが、 この地から発掘された人骨は、コーカソイド人種であることを示したため、これはロシア人の遠い祖先ではないか、否、 白人アーリア人全体の故郷ではないかなど、喧々諤々の議論が巻き起こった。また、他にも、 遺跡の年代が紀元前3000年にまで遡るとの論説もある。

 アルカイムの周辺では、隣州やバシコルトスタン、 カザフスタン共和国などでも同様の遺跡が次々と発見されて、これらを集めていつしか「南ウラル都市群国家」と呼ばれるようになり、 人々のロマンを掻き立てている。

 

 

悠久のロマンを求めて、年間4万人もの観光客が訪れる

 

 一説によれば、このような古代の「町」は、大地を巡る特別なエネルギーの 「道」が集約する地点に建設されたとされており、アルカイムにこのエネルギーが集中していると信じて、訪れる人が止まない。確かに、 何もないステップ地帯のこの場所に町を築いたのには何か訳があったのかもしれない。交通も便利とはいえない場所にもかかわらず、 モスクワなどからも含めて年間3~4万人が訪れる。

 遺跡には願い事を念じながら、 渦巻き型に沿って中心に向かって歩いていくと願いがかなうといわれる丘がある。訪れる人は渦巻き型に置かれた石を辿りながら、 この丘を上る。実際に歩いてみると、丘を上るにつれ、ステップの平原を駆け抜ける風が笛のような風音を奏で、 この世のものとも思われない名状しがたい心持にかられる。