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ロシア最初の国立美術館 ロシア美術館

美術館の建物は、 ロマノフ朝の爛熟期ともいうべき19世紀初頭に建てられたミハイル大公の宮殿。 9~13世紀の古代ロシアイコン画から現代絵画に至るロシア美術の全分野を網羅した展示は圧巻だ。 特に18~20世紀の絵画が充実している。時間をかけて見学したい美術館である。

 

 

ロシア美術館の誕生

 

 ロシア美術館の建物は、 パーヴェル1世の息子でアレクサンドル1世とニコライ1世の弟にあたるミハイル大公の宮殿として建てられたもの。 建築家ロッシにより1819年から建設され1825年に完成。完成当時は古典様式の最高傑作と称えられた。しかし、 長い年月の間に内装には多くの修正が加えられ、現在、建設当時の原型を残すのは正面ロビー、 ギャラリーをつなぐ2本の階段、「白の間」などだが、かつての華麗さは十分偲ばれる。

 ミハイル大公と妻エレーナ大公妃の時代はロシア宮廷文化の最盛期で、 宮殿は当時の上流階級のサロン的役割を担っていた。

 ミハイル大公が亡くなった後は華やかな舞踏会は催されなくなったが、 エレーナ大公妃が中心となって文芸や音楽サロンを催し、文化人たちが集まる場となった。しかし、 大公妃が亡くなると宮殿の影響力は低下していった。

 世代が変わり、 ミハイル大公の子孫たちはこの贅沢な宮殿を維持することが難しくなり、1895年、美術館開設という目的で国庫に買い上げられた。

 宮殿を美術館に改築するという難問は建築家V・ スヴィニインの指揮により進められ、1898年ロシア最初の国立美術館が誕生した。ニコライ2世は、 美術館の創設に力を入れていた父アレクサンドル3世に因んで、「アレクサンドル3世名称帝室ロシア美術館」と命名した。

 

 

今日のロシア美術館

 

 ロシア美術に関してはロシア美術館とモスクワのトレチャコフ美術館が双璧であるが、 ロシア美術館は最初の国立美術館であり、歴史と規模からいってもロシア随一といえるだろう。

 現在サンクトペテルブルクに残るロマノフ時代の宮殿のうち、 ネフスキー大通り周辺に建つ「大理石宮殿」「ストロガノフ宮殿」「ミハイロフスキー城」は、ロシア美術館の分館となっており、 宮殿美術館として公開されている。

 美術館本館の見学ルートはイコン画からスタートする。見どころは、 12世紀の『大天使ガブリエル(金髪の天使)』、15世紀初期の『聖ゲオルギー』のほか、アンドレイ・ルブリョフの 『使徒ペトロとパウロ』などは見逃せない。

 18~19世紀の絵画部門では、ブリュローフの『ポンペイ最後の日』が人気。 この絵の前はいつも大勢の人だかりだ。迫力ある作品は当時ヨーロッパ各地で評判になった。

 19~20世紀の絵画部門では、ロシアリアリズムの巨匠イリヤ・ レーピンの絵画のコレクションが充実している。『ボルガの舟曵き人夫』はロシアリアリズムの代表作として日本でもよく知られているが、 数多くのレーピンの作品のなかでも、ロシアの激動期、レーピンと同時代の芸術家や文化人たちの肖像画、『トルストイと妻ソフィア』 『ゴーリキーとマリア・アンドレーエワ』『ドストエフスキー』『チェーホフ』などを描いた作品が興味深い。

 また、 近年注目を新たにしているアヴァンギャルドの旗手フィローノフの作品を始め、マレーヴィチ、カンディンスキー、アリトマン、 後に亡命したシャガールなどの絵も見応えがある。