ロシアの生活・料理・人・文化などをご紹介|元気なロシアの今を伝える"ユーラシアビュー"

ロシアの生活,ロシアの料理,ロシアの人,ロシアの文化を伝える月刊雑誌です。

少数民族ウデヘ族・ナナイ族の暮らし

  「ウデヘ」というのはツングース系の言葉で「密林」や「森の人」を表す言葉と言われる。 狩の天才と呼ばれる彼らが暮してきたシホテ・アリン山脈は豊かな動植物を擁し、ヘラジカやジャコウジカ、ヒマラヤ熊、ミンク、 クロテン、大山猫、ウスリー虎など大型獣が生息する。だが、彼らは必要以上に動物を獲ることはせず、 繁殖シーズンや子供の成長の時期には決して狩を行わない。その間は漁労や植物の採集に従事するという生活を送ってきた。 特に虎や熊には祖先の霊が宿っていると昔から伝えられてきたため、特別に大切にしてきた。 しかし、19世紀になると、 ロシア人が入植し、中国人の逃亡者、密猟者などが増えて少数民族は苦しい生活を強いられた。

 

 ソ連時代になると少数民族に対する生活環境の安定と向上が図られたものの、 政府の方針により伝統的な生活様式が失われたものもある。

 

 ウラジオストクに本部を置く沿海州土着少数民族協会の副会長ナジェジュダ・ セリュクさん(父はウデヘ人、母はナナイ人)の話によると、「私たちの森林が突然伐採し始められたのです。 肥沃なタイガの土壌がブルドーザーで破壊され、私たちは立ち上がったのです。猟師たちは銃を持って道路を封鎖し、 伐採車輌の進入を阻止しました。この地に住んでいるコサックたちも私たちといっしょに抗議行動に参加し、 全住民がタイガを守るために立ち上がりました。これをきっかけに1993年に協会が発足しました」

 

 しかし、 一度傷つけられた森の傷跡は深く、15年経っても伐採の後には何も生えていない。

 

  「協会の目的は、 私たちの三千年に亘る暮らしの場である自然環境、森の保護、少数民族の伝統的な生活様式の保護です。 経済活動はこの地域に膨大な損害をもたらしています。タイガは破壊され、少数民族が生活する森はどんどん狭まっています。 森林伐採により土壌が枯渇し川魚も少なくなりました。鮭を獲るのにはクラースヌィ・ ヤールから130キロメートル離れたオリガまで行かなければなりません」

 

 現在、 セリュクさんたち少数民族協会はロシアの他の州とも連携している。

 

 「私たち沿海州の少数民族は現在、クラースヌィ・ ヤールやラゾ地区など五つの地区に住んでいます。クラースヌィ・ヤールがもっとも大きな村で、住人は750名ほどです。 主にウデヘ人が多いですが、祭りにはナナイ人、オロチ人、それから僅かですがタズ人が集まります。 沿海州全体の少数民族の数は全体で現在2000人ほどです」

 

 シホテ・ アリン山脈中央部のビキン川沿岸の地域にあるクラースヌィ・ヤールは、頻繁に洪水の被害を受けるウデヘ人の部落を集めて誕生した町で、 現在もっともウデヘ人が多い町である。

 

 

※写真左上、 ウデヘ人の少女たち

※写真右上、 ナジェジュダ・セリュクさん