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ロシアの代替医療【11】 障害児の乗馬セラピー

馬の背中で緑いっぱいの自然を体感する効果

 

 「乗馬の効果はどんなトレーニングマシンもこれに代えることはできません。 乗馬セラピーを受ける子は、 歩く力がついて元気になり、積極的に話すようになり、 抵抗力がついてきます。 何よりも一番重要なのは、 新しい交流により彼らの世界が広がり、 前向きな気持ちを持つことができるようになることです。 馬に乗ると、人は馬の体温を肌で感じ、 その生命の脈動が人に伝わります。 馬とのふれ合いや困難を克服しようとする仲間を得ることが、 彼らの生きる力の源になるのです」 とエレーナさんは言う。

 

 乗馬セラピーは医療の一分野ではなく、 補助的治療法である。小児麻痺、 不全麻痺、ダウン症、関節の異常、 ある種のメンタル的な問題、 自閉症などの問題を持つ児童、 青少年のための一つの補助治療である。

 彼らは指導員の助けなしでは馬に座ることすら困難である。 しかし、 乗馬セラピーの治療法は一般的な乗馬の楽しみ方とは異なる。 馬に跨って駆けることに意味や目的があるのではない。 個人向けプログラムを組んで、 さまざまなトレーニングを指導員の助けを借りて馬上で行う。 前へ進む馬のリズミカルで整った動き、 馬から感じる馬の感情、 その触覚が大きな働きをおよぼすという。 馬は乗っている者の運動感覚、 感情の発達のためのヘルパーでありパートナーなのだ。

 

 

フリョーナ設立の経緯

 

 地域青少年団体「フリョーナ」という名前は団体の会長エレーナさんの娘の名フリョーナちゃんから付けられた。 エレーナさんと夫アナトーリー・ モロゾフさんは乗馬セラピーと運命的に出会った。

 夫妻の娘フリョーナちゃんは誕生時の怪我により小児麻痺を宣告された。 障害児を持つ親の苦労は並み大抵のものではない。 ある日、親子三人でモスクワのクズィミンキ緑地を散策しているとき、 厩舎に迷い込んだ。 これがフリョーナちゃんが馬を見た初めてのときだった。 フリョーナちゃんが大よろこびする様子、 馬との出会いが娘におよぼす感情的効果にエレーナさんは心から驚かされた。

 この出来事が彼ら三人の人生を根本から変えた。 彼らはしばしば厩舎に通うようになり、 フリョーナちゃんの状態は少しずつよくなり始めた。 夫妻は乗馬セラピーの存在を知り、 それをより深く知って魅了されるようになった。

 

 エレーナさんは、小児麻痺で苦しむ子どもを持つほかの親たちとも知り合い、 次第にこのような子どもたちの治療が行える団体の設立を考えるようになった。

 乗馬セラピーで子どもたちを助けることだけでなく、 障害を持つ子どもを抱える親たちを互いに結びつけ助け合うことも重要な目的だ。 夫妻は仲間たちに呼びかけて、資金を工面し、 2008年に乗馬セラピー団体 「フリョーナ」の設立にこぎつけた。 現在、フリョーナは個人や団体の協力で経営されており、 部分的に国家の支援も受けている。

  「もちろん、わたしたちの目指すすべての計画の実現にはまだまだ時間がかかります。 でも、このセラピーの効果に真剣に興味を持ち、 情熱を持つ親たちがいるのですから、 この事業を前進させていくことができると信じています」

 エレーナさんにとって自分の娘だけでなく、 同じように、ほかの障害を持った子どもたちを助けることができるのは大きな喜びだ。 現在、フリョーナには約30人の子どもたちが通っている。

 

 

スポーツ乗馬・乗馬セラピー振興地域青少年団体

「フリョーナ」

住所:モスクワ市チーハヤ通り23-8