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カザフスタン・アルミ精錬社

ENRCグループの概要

 

 カザフスタン最大の企業グループ「ENRC」の事業分野はボーキサイト、 クロム、マンガン、鉄鉱石などの資源採掘部門、アルミ、鉄、フェロクロムなどの精錬加工部門、発電所での電力生産部門、 ロジスティック部門などにわたる。

 グループ全体の売上高は770億ドルに達し、総従業員数は約7万人、 このうち6万5千人がカザフスタンで雇用されており、国内に「カザフスタン・アルミ精錬社(KAS)」「TNKカズクロム社」 「ソコロフ・サルバイ鉱業社」「欧亜エネルギー会社(EEC)」などの大企業を有するほか、ロシア、中国、アフリカ、 ブラジルなどにも鉱山や鉄鋼関連企業を有している。採掘される鉄鉱石はロシア・ ウラルの鉄鋼大手企業マグニトゴルスク鉄鋼コンビナート(本誌69号で紹介)にも輸出されている。また、 フェロクロム生産では世界第一位である。

 

 

KAS社の概要

 

 ENRCグループのなかでも重要な位置付けにある「カザフスタン・ アルミ精錬社(KAS)」の工場は、ロシア国境に近いパヴロダール市郊外に位置している。 ENRCグループきっての最新設備を導入したアルミニウム電解製造工場は、 ナザルバエフ大統領の臨席のもと2007年に操業を開始した。現在、年間25万トンのアルミニウムを製造している。

 

 工場はパヴロダールの環境保全を考慮して市内から15キロメートル離れた場所に建設され、 従業員はステップを縦断する道路をバスで通勤する。この道路はステップのまん中に切り拓かれたコンクリート舗装された道路だ。

この場所に工場が建設された一つの理由は、 ここから約5キロメートルの場所に、ENRCグループの一員で、アルミニウムの原料となるアルミナ(酸化アルミニウム) を生産する「カザフスタン・アルミニウム社」があることが挙げられる。カザフスタン・アルミニウム社はソ連時代の1960年代に、 ソ連の産業分散政策により建設されたコンビナートで、ここから遠方のアルミ精錬工場にアルミナを搬出していた。

 

 現在もこのカザフスタン・ アルミニウム社のアルミナ生産量は世界第5位に達する。それまで一方的に輸出に向けていたこのアルミナを原料に、 アルミ精錬を国内で行い、カザフスタンの輸出産業育成に役立てようという経済戦略から、 国家的プロジェクトとして誕生したのがKASである。ちなみにKASで使用される電力もENRCグループの「欧亜エネルギー会社 (EEC)」で生産されるものだ。

 

 

KAS最新工場の誕生まで

 

現在、 KASでのアルミニウム製造の効率をより高めるために、アルミニウムの電解に必要な煆焼(かしょう)石油・石炭コークスの製造工場が、 今年12月の操業開始を目指して、KASの隣に完成される。(※煆焼とは、加熱処理工程の一つ。原料を熱分解して、 揮発成分を除くこと)

 

「アルミニウム1トンの製造には500キロ以上の煆焼コークスが必要です。これを今までは中国から輸入していました。しかし、 中国国内での煆焼コークスの需要が優先され、他にもいくつかの問題点があり、 我々の安定的な高品質のアルミニウム製造の障害となっていました。このコークスの煆焼を我々KASで行うことで、 安定供給を実現すると共にアルミ製造コスト全体を軽減し、KAS全体の国際競争力を高めます」とKAS広報部長グリヌルさんは言う。

 

 もちろん、 このコークス煆焼工場は環境や労働者の健康の配慮の面でもカザフスタンでもっとも優れた最新のものだ。煆焼石油・ 石炭コークスの生産能力は約13万6000トン。 コークスの原料もアティラウ地区やテミルタウ地区などカザフスタンのものが使用されることになる。 これでボーキサイト原料とアルミナはもちろん、アルミ製造に必要な大量の電力生産から、 煆焼コークスまでを全て国内の自社グループで賄う生産サイクルが完成することになる。

 残るは、 生産しているアルミニウム地金を板や棒、鉄線などの必要な形状に加工する圧延、鍛造などの加工工場となる。 それも当然近い将来に実現されるだろう。